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第1回タイトル:今、車載業界がプレスメーカーに求めている5つの力
自動車業界はいま、かつてない転換期にある
自動車業界は今、電動化・コスト圧力・人手不足・グローバル競争という四重苦の中にあります。
とくに2025年以降は、EVを中心に世界的な再編が加速しています。
中国のBYD(比亜迪)は、低コストEVの大量投入で世界販売首位となりましたが、2025年秋には価格競争による成長鈍化が報じられています(出典:Reuters, 2025年10月1日)。
一方、日本の完成車メーカーも厳しい状況です。日産自動車は2024年度決算で営業利益率0.6%にとどまり、EV開発や人件費の増加が重荷となっています。
このような状況下で、各社の調達部門が強く意識しているのが――
「品質を落とさず、止まらず、誠実に対応できるサプライヤー」
つまり、単に“作れる”メーカーではなく、信頼して任せられるプレスメーカーが求められています。
車載メーカーがプレスメーカーに求める5つの力
① 品質保証力 ― 不良ゼロを支える仕組み
車載部品の品質は、車の安全とブランドを支える基礎です。
1つの不良が市場クレームやリコールにつながるため、車載メーカーはサプライヤーに「ppm(100万個あたりの不良数)」単位での管理を求めています。
プレスメーカーに求められるのは、
- 寸法・外観検査の仕組みを工程内に組み込むこと
- 工程能力(Cpk)をデータで把握すること
- 金型・設備状態をモニタリングし、変化を早期に察知すること
とくに深絞りや複雑形状のような高精度部品では、条件変動を抑える技術力が重要です。
“偶然良いものができた”ではなく、“再現性を持って良いものを出せる”ことが品質保証力です。
② 品質マネジメント力 ― 規格・要求を運用で体現する力
車載業界では、品質保証体制が「書類」ではなく「日常の仕組み」として機能しているかが問われます。
その基準となるのがISO9001とIATF16949、そして各メーカー独自のCSR(顧客固有要求)です。
監査で確認されるのは、次のような項目です。
- 材料・金型・設備・製品を一貫して追跡できるトレーサビリティ
- 検査記録と現場運用の整合性
- 不具合発生時の是正・再発防止プロセス(8D対応など)
- CSRに基づいた要求事項の明確化と運用
つまり、求められているのは「監査に対応できること」ではなく、常に監査に耐えうる日常運用をしていること。
それこそが真の品質マネジメント力です。
③ 安定供給力 ― ラインを止めないしくみ
どんなに品質が高くても、納入が途切れれば評価はゼロ。
車載メーカーはサプライヤーに、安定した生産とリスク管理を強く求めています。
プレスメーカーに求められる主な体制は、
- 金型・設備の予防保全と寿命管理
- 代替生産が可能な外注・協力ネットワーク
- 災害・感染症を想定したBCP(事業継続計画)
- 材料調達リスクへの柔軟な対応
「止まらないこと」は品質と同じくらい重要な条件です。
この安定供給力が、車載メーカーの信頼を左右します。
④ 価値提案力 ― 品質を守りながらコストを下げる
コスト競争が激化する中、単なる値下げ要求に応じるだけでは続きません。
車載メーカーが求めているのは、「品質を維持しながら無駄を減らす工夫を提案できるサプライヤー」です。
たとえば、
- ブランク形状の見直しによる材料歩留まり改善
- 工程統合や順送化による生産性向上
- 板厚や材質の最適提案による軽量化・コスト低減
- 金型のメンテナンス性改善による長寿命化
「言われた通り作る」から「どうすればもっと良くなるかを提案する」へ。
その姿勢こそが、選ばれるプレスメーカーの条件です。
⑤ 信頼対応力 ― 誠実さとスピードで信頼を築く
どんな取引も最終的に残るのは“人の信頼”です。
不具合や納期変更などトラブルが発生した際に、
- 迅速に事実を報告する誠実さ
- 理由と対策を明確に伝える説明力
- 期限・約束を必ず守る実行力
これらを徹底できるメーカーは、長く選ばれ続けます。
誠実な対応は、設備投資や技術力以上に信頼を生む「見えない品質」です。
野口製作所の取り組みと信頼性
私たち株式会社野口製作所は、IATF16949の認証こそ取得していませんが、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムをベースに、同等レベルの管理運用を行っています。
品質保証においては、
- 製品・材料・金型・設備のトレーサビリティ管理
- 顧客ごとのCSR(顧客固有要求)管理と運用
- 金型や設備の予防保全・定期点検の徹底
- 不具合発生時の原因分析と再発防止(8D対応)
を実施し、安定した品質を維持しています。
これまでに多数の車載部品メーカー様の品質監査を受け、すべて問題なく対応してきました。
監査では「帳票と現場運用が一致している」「改善スピードが速い」と高い評価をいただいています。
また、25t〜200tのプレス機を保有し、ステンレス・アルミ・真鍮・鉄など多様な材料に対応。
深絞りをはじめとする精密プレス加工を得意とし、金型設計・製作から試作・量産までを一貫して行っています。
中小企業ならではの意思決定の速さと柔軟性を強みに、急な設計変更や試作にもスピーディに対応可能。
「誠実さ」「スピード」「品質」を軸に、車載業界のお客様から信頼をいただいてきました。
最後に
自動車業界の変化が加速する今こそ、
確かな品質と誠実な対応で、安心して任せられるパートナーが必要とされています。
私たち野口製作所は、「IATFを持たないからできない」ではなく、
実力で応える品質体制を築いてきました。
品質・コスト・スピードのバランスを取りながら、
お客様のものづくりを支える伴走者として、全力で取り組んでまいります。
車載部品のプレス・深絞り加工に関するご相談は、ぜひ一度ご連絡ください。