
樹脂成形のご相談を受けていると、 「この寸法、±0.05mmで出ますか?」 という質問をいただくことがあります。
結論から言うと、条件次第では可能です。射出成形で嵌合部でも達成可能ですが、金属加工と同じ感覚では考えられません。 樹脂成形で寸法精度を出すことが難しいのには、明確な理由があります。
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樹脂は「固まるときに縮む」
金属加工の場合、材料は基本的に「削った形=そのままの寸法」で仕上がります。
一方、樹脂成形では溶けた材料を金型に流し込み、冷えて固まる過程を経ます。 このとき、樹脂は必ず収縮します。非晶性樹脂で1-2%、結晶性樹脂で1-3%程度が目安です。
しかもこの収縮量は、
- 材料の種類
- 金型温度
- 保圧・成形条件
- 製品形状
によって変わります。つまり、金型寸法=製品寸法ではありません。 最初から「狙い寸法」をどこに置くかを考える必要があります。
同じ製品でも、場所によって寸法が変わる
樹脂成形の難しさは、 「製品全体が均一に縮むわけではない」 という点にあります。
例えば、
- 肉厚が厚い部分
- 薄い部分
- ボスやリブが集中している部分
これらは冷え方が異なり、収縮量にも差が出ます。 金属の熱膨張率に対し樹脂は10倍以上で、水分吸収も寸法を変動させます。
結果として、
- 外形は合っているのに穴位置がずれる
- 組み付けると反る
といった現象が起こります。 図面上では同じ寸法精度でも、現実には難易度がまったく違うのです。
樹脂成形で「精度が出やすい寸法/出にくい寸法」
経験上、以下の傾向があります。
比較的出しやすい
- 単純な外形寸法
- 肉厚が均一な部分
注意が必要
- 穴径、ボス径
- 嵌合部(反り・変形考慮必須)
- 長尺形状
- 肉厚差のある箇所
特に「嵌合部」は、寸法だけでなく反り・変形も含めて評価しないと、組付け不良につながります。
全寸法を厳しくすると、逆に崩れる

樹脂成形でよくある失敗が、 「全部の寸法を厳しく指定してしまう」 ことです。
すると、
- 成形条件を振り切る
- 不良が出やすくなる
- 量産が不安定になる
という悪循環に陥ります。
重要なのは、 どこに精度が本当に必要なのか を明確にすることです。
- 機能に直結する寸法
- 見た目に影響する寸法
- 多少ズレても問題ない寸法
これを整理するだけで、成形の安定性は大きく変わります。
樹脂成形の寸法精度は「管理するもの」
樹脂成形では、 「一発で寸法が出る」 という考え方は現実的ではありません。
- 初期条件出し
- 試作評価
- 条件固定
- 量産中の管理
この積み重ねによって、狙った精度を維持するという考え方になります。 だからこそ、設計段階・発注段階でのすり合わせが重要です。
まとめ
樹脂成形の寸法精度が難しいのは、技術が未熟だからではありません。 材料の特性上、そういう加工方法だからです。
- 樹脂は縮む
- 均一には縮まない
- 全寸法を厳しくすると破綻する
これを理解したうえで設計・発注を行うことで、 「樹脂成形は不安定」という印象は大きく変わります。
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